主宰中尾知代によるプロデュース型演劇ユニット

by hachi-tora

カテゴリ:●蜂寅企画とは?( 3 )

《大事なご報告》

少しずつ暖かい風が吹き始め、また桜の季節が巡って参りましたね。
みなさまいかがお過ごしでしょうか?

中尾は「ひゃくはち問答」終わって大分腑抜けの時期を過ごしてしまいました。
参った参った。
しかしてそうも言っておられぬぞと、ついにここまで来たと、
一大決心を致しました。


本日2016年3月18日を以って
蜂寅企画は三人体制になりました。
新しいメンバーは 島田紗良、安田徳 の二人です。



紗良は旗揚げから、安田くんは2012年からの出演して貰っております。

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蜂寅企画ではお馴染みの二人であり、
なくてはならない、右腕左腕、右脳左脳であり
心臓であり血肉である、そんなお二人です。

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旗揚げからずっと「劇団員」のいない、一人で全部やる「演劇ユニット」
でやってきました。
ですがそれはずっと中尾自身が「誰か」の人生を背負うなどできない、と
尻込みしていたことが要因でした。

その気持ちのまま、一人体制で作品を毎回違うキャスト・スタッフで、
と作ってきました。しかし実態は、血肉になって戦ってくれるメンバーが
毎回出演してくださるようになっていました。
蜂寅色は、彼らとともに作ってきたのです。

それでも私は尻込みをしていました。
ずっと心の奥底にあった、「彼らが必要だ」という気持ちに気付かぬ振りをしていました。


そして今回のひゃくはち問答で、自分の演劇についての考えが改まりました。

「人生を背負うなんてできない。
けれど一緒に演劇をやりたい。
もっと素敵な世界を彼らと見たい」
それに尽きました。


「いままで事実婚だったのだから、籍を入れただけ」
と、紗良から言われたのもまた事実です。笑


大きく腹を括りました。
演劇と生きて行くなら彼らが必要だ。

今後の蜂寅企画の躍進をどうかお楽しみに!
蜂寅企画は、もっと素敵になる。
もっと凄く、大きく、見たことのない世界に。


皆様をもっと素敵な世界に、お連れしたい。
それが新体制蜂寅企画の大きな望みで御座います。
夢をみて、地に足つけて、手を取り合って走ってゆこうと思います。

今後とも熱いご支援、ご声援をどうか何卒よろしくお願い致します!!

蜂寅企画中尾
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by hachi-tora | 2016-03-18 20:08 | ●蜂寅企画とは?

【悋気(りんき)の箱】

本日は花火大会があるらしいじゃあ御座いませんか。
雨降らないといいけどね。。

さてさて第六回公演の支度をしつつ。

蜂寅企画のユーストリーム番組
Tiger&Bee 隔週土曜22:00~絶賛放送中でございます。
見逃した方も→http://www.ustream.tv/channel/tiger-bee
から過去放送観られますので要チェックで御座います!

番組内に、
皆様から三つお題を頂いて、そこからひとつ怪談話をこさえようじゃあないか、というコーナーが御座います。前回放送で、8割世界の小林肇くんに朗読して貰った【悋気(りんき)の箱】

見そびれた、読み物としても読みたい、との声にお応えしまして
本日テキスト公開です!!

無断転載禁止ですので、何処かで朗読したいなどの希望がありましたらご一報下さいませ。


勿論、このブログからもお題は募集してますので
宜しくお願いします。



第一回【悋気(りんき)の箱】
お題 【おんな・二八そば・木戸】
登場人物:妻、男、人形師(男)


【悋気の箱】
  『おんなの悋気は慎むところ』、なんてよく言ったもんで御座いますがね。悋気、つまり嫉妬ってのは女の性分みたいなもんで。女に生まれたからには、どうしたってついてまわる羽目になる。男にしてみりゃ、それがまだ焼き餅って程度なら可愛いもんだが・・・

   ****
   
 その男は、妻の悋気に悩んでいた。
何処へ行くにも「お前さんドチラへ?」、誰といても「お前さん其方ドナタ?」何を貰っても「お前さん、ドナタから?」
「お前さん、お前さん、お前さん・・・お前さん」
男の方はすっかり参ってしまい、もともと好きだった夜遊びが更に酷くなる始末。女の悋気は酷くなる一方。

ある夜、男は毎度のごとくの夜遊び帰り。また妻が起きて待ってるかと思うと憂鬱になった男は、小腹を満たそうと二八そばへ。
そこには変った先客がいた。山猫廻しのような派手な格好をした男がそばを食っている。
降ろせばいいものを、大きな荷物を紺地の風呂敷で包んで背負ったままだ。喰い終わり、立ち上がった男とやってきた男とがぶつかりそうになり、その拍子に背負っていた荷物をばら撒いてしまう。
 
 「なんだいこいつぁ」

と、拾いながら。
ばら撒かれた荷物はなんと花嫁道具、しかしどれもフツウの物に比べ幾分も小さい。

「へえ、人形の嫁入り道具でさァ」

人形師だという男は応えて言う。人形師は背負いなおすのを手伝ってくれた男に、真っ黒な紐で縛られた真っ黒な小箱を手渡す。

「きっと旦那の役に立つでしょう。なにこの娘にゃあ、必要ないでしょうから」
  と、花嫁姿の人形を可愛くかしげてみせる。

「・・・しかし決して紐を解いちゃあいけませんゼ」
とだけ言うと人形師は去っていった。
男は、何がなんだかわからぬまま箱を持ち帰り、妻にあげることにした。

と、以来、どういうわけか妻がぴたりと悋気を起こさなくなった。贈り物がよっぽど嬉しかったのだろうと思っていたが、まるでそれこそ人が変ったようにおとなしい。
夜遊びしても文句も言わず、いつもにこにこと笑みを浮かべている。こいつぁおかしなこともあるもんだ、と思っていた。しかしそれから毎夜のように、
か細い、消え入るような声で

「開けて・・あけて・・」

と、小箱から声が聞こえる。妻を叩き起こして聞かせようとするが、妻には何も聞こえないという。
不思議に思っていたのも束の間、声が聞こえるようになってからというものの、日に日に妻が弱っていく。
それでも妻の顔からは笑みが消えない。

「お前さん、いいのよ。大丈夫だから」

と言って咳き込んで血を吐くが、それでもまだ妻の笑顔は消えない。顔は笑っているのだが、のっぺらとして人形のように生気を感じられない。
そうこうしてるうちに、女は死んでしまった。亡くなる前の夜、女は苦しそうに

 「お前さん、お願い。この箱、開けて」

  と、懇願したが、男は恐ろしくて聞き入れることができなかった。弔いののち、気味が悪くなくなった男は、ついにその小箱を大川へと投げ捨てた。

その夜、裏の木戸から、どん・・・どん・・と戸を叩く音がする。
こんな時分に誰だろうと、戸を開けてみるが・・誰もいない。なんだ空耳か、とふと足元を見ると

あの黒い小箱が地面に落ちていた。びしょびしょに濡れた小箱の紐は、取れてしまっている。
  恐ろしくなって戸を閉めようとするが・・目が、釘付けになって動けない。
あけてはならない箱の蓋が、ゆっくりと開き・・・そこには・・

 「やっとあえた」

  明くる朝、隣人たちが不審に思って部屋を探したが男の姿は何処にもなく。
 きつく紐で縛られた小箱だけが残されていたという。
 
【了】 




戯曲以外の文を書くのも、楽しいもので御座います。

次回、放送は8/11 三題噺のお題は【辻斬り・扇子・かすてら】で御座います。
沈没のしらぬゐ終幕までは江戸怪談縛りで参りますよ。。。
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by hachi-tora | 2012-08-04 16:00 | ●蜂寅企画とは?

ABOUT ME

●主宰 中尾知代 プロフィール●

1984年12月生まれ。
日本大学芸術学部演劇学科劇作コース卒。在学中、高橋いさを(劇団ショーマ主宰)氏と共作。(論創社:『レディ・ゴー』を出版) 同大学のサークル殺陣同志会を通じ、立ち廻りを学ぶ。07年にはエジンバラ国際フェスティバルに参加。



蜂寅企画はハチトラキカクとそのまんま読む。
ナカオトモヨ主宰のプロデュース型演劇ユニットと謳ってはいる。
中島敦 著 『山月記』から由来し、中尾の猫科好きなどの様々な要素を織り交ぜ命名。
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by hachi-tora | 2009-05-15 01:34 | ●蜂寅企画とは?